空き家対策特別措置法とは?空き家所有者は要注意

空き家問題が深刻化していることを踏まえ、政府は空き家対策特別措置法(正式名称:空家等対策の推進に関する特別措置法)によって法整備を進め、市町村(東京23区を含む。以下同じ)の空き家対策を進める後ろ盾になっています。

この法律は、平成27年2月26日から一部が施行されていたところ、同年5月26日から完全施行され、空き家所有者に対する措置が市町村の権限で行えるようになりました。

その措置は段階的に重くなり、措置に応じない空き家については、最終的に強制撤去(除却)まで可能です。といっても、役所の職員が解体する技術を持っているはずもなく、業者に委託して行われます。

そして、強制撤去とはいえ、その費用は空き家の所有者が負担することになっています。家を勝手に撤去された上に、費用請求されてはたまったものではありませんよね。

だからこそ空き家対策特別措置法は、空き家所有者にとって見逃せない法律になっていて、正しく理解が必要なのです。

実際に強制撤去されたケース

平成27年10月26日、神奈川県横須賀市で空き家対策特別措置法に基づいた空き家の除却(取壊し)が開始されました。

行政代執行で除却される空き家 - 横須賀市
除却対象になった空き家:横須賀市
http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/4840/nagekomi/roukyuu003.html

対象になった家は、以前から市に苦情が寄せられており、一度は建築基準法に基づいた除却を検討するも断念。空き家対策特別措置法の施行により、除却に踏み切ったもので、所有者不明のまま行われています。

所有者不明ですから、結局は公費ということになるのですが、除却費用は150万円程度を見込んでいるとのこと。公費とは即ち税金が使われているんです。

税金を使ってまで空き家を除却することには、賛否両論あると思いますが、その点を論じることはこの記事の主旨ではありません。なぜ行政が空き家を強制撤去する必要があるのか、なぜ今まではできなかったのか説明していきます。

空き家対策特別措置法が制定された背景

家は建築物なので、いつかは古くなって風化していきます。もちろん、建築部材の中には分解されない・分解されても時間がかかる物もあって、老朽化は一様ではないですが、主要構造の柱・梁に使われる木材は確実に朽ちていくでしょう。

特に、昭和後期よりも前に建てられた木造住宅は、築年数で30年を超え、老朽化が激しくなっています。古くなったとはいえ私有財産なので、誰も手出しはできません。

ところが、古くなりすぎて、周りの住民に迷惑がかかってくるようになると話が変わります。防災面、防犯面、衛生面、景観面など、古くなった空き家が悪影響を及ぼし、地域の平穏な生活が脅かされるからです。

横須賀市のケースでも、発端になったのは地域住民からの苦情でした。

空き家の悪影響は多い

空き家には、次のような悪影響があるとされ、市町村への相談や苦情と概ね一致しています。また、多くの空き家は複数の悪影響を与える危険を含んでいます。

  • 倒壊の危険:老朽化による腐食や損壊から倒壊する恐れ
  • 建材の飛散:壁の崩落、屋根材の飛散による周辺被害
  • 庭木や雑草の放置:雑草の拡散、害虫・害獣の発生
  • 防犯上の問題:不法侵入、犯罪行為への利用
  • 衛生上の問題:不法投棄、異臭、害虫、イヌ・ネコ・ネズミなどの増加
  • 景観上の問題:街並みの視覚的な悪化、景観条例への抵触
  • その他:樹木が伸びて電線に触れる、雪下ろしをせず落雪事故など

この他にも考えられるのでしょうが、古くなれば古くなるほど悪影響が大きくなるため、空き家対策特別措置法では、こうした悪影響を及ぼすおそれがある空き家を、管理された空き家と区別して、必要な措置を講じていく仕組みになっています。

全国の空き家数は平成25年で820万戸

総務省統計局による調査では、平成25年における全国の空き家数が、820万戸もあります。空き家率は13.5%になり、過去最高を記録しました。


データ:住宅・土地統計調査(総務省統計局)

5年ごとの統計を見てみると、見事に右肩上がりのグラフで、住宅総数も増え続けているため、今後も空き家率は下がらずに推移していくと予測されます。

5年前と比べて約63万戸増えた空き家の中では、一戸建ての空き家が突出して高く、マイホームを目標にして働き続けた世代が高齢化したこと、マンション化が進んで一戸建てが余っている状態が伺えます。

今後は人口減少に伴って、世帯数も減っていくので、今の住宅数を維持しても空き家が増えることは間違いなく、ましてや住宅が増えていけばそれだけ空き家が増えます。

空き家対策の必要性と空き家対策特別措置法の制定

空き家が増加し続ける傾向にあることを受け、公益に著しく反する状況の空き家を放置できない市町村は、これまでも建築基準法や条例を頼りに、空き家対策を進めてきました。

横須賀市のケース以前にも、強制的に除却された例はありますし、補助事業などで空き家の活用を促進させる施策もされています。

しかし、根本的な部分では、公権力による私有財産の除却が、財産権の侵害にあたり慎重にならざるを得ないこと、所有者とのトラブルが必至であることから、役所も二の足を踏んでしまっていたのが現実です。

また、空き家対策は、防災面、防犯面、衛生面、景観面という、多方面での改善を一次的な目的としていますが、それだけが目的ではありません。

過疎化が進んだ地方部では、全国平均以上に空き家率が高く、移住者の受け入れ体制を整備して人口を増やしたい意向があります。

さらに加えると、空き家になった家と土地は不動産として流通しないので、経済成長を目指す国としても、不動産の流通量を増やして経済を活性化させたいでしょう。

このような二次的・三次的な目的もあり、空き家対策に向けた法整備が求められ、空き家対策特別措置法の制定へと繋がっていきます。

空き家対策特別措置法のポイント

前置きはこのくらいにして、いよいよ空き家対策特別措置法の解説に入りますが、条文を細かく解説しても余計に難しくなるので、ポイントを取り上げます。

※逐条解説は別記事で用意します。
※以降、指定がない限り、条・項は空き家対策特別措置法です。

空き家が法律で定義された

居住その他の使用がなされていないことが常態である建物を「空き家」と定義しました(第2条第1項、条文上は空家等)。”常態”の基準としては、概ね年間を通じて使用実績がない建物とされています。

空き家のイメージ

空き家対策特別措置法における空き家のイメージ

※空き家対策特別措置法は、空き家を住宅に限定しておらず、店舗等も対象になるのですが、この記事では主な対象となる住宅を前提にしています。

そして、放置することで公益を損なうおそれのある空き家を「特定空き家」と定義しました(第2条第2項、条文上は特定空家等)。

特定空き家に認定されてしまうと、行政から様々な措置を受ける対象になるため、空き家の所有者ならぜひ知っておきたい用語ですね。

特定空き家とみなされるのは次のような空き家です。

そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
傾いて倒壊するおそれ、屋根や外壁が飛散・剥落するおそれ、看板や設備等が脱落するおそれ、屋外階段やバルコニーの腐食、塀や擁壁の明らかな破損など

そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
吹付け石綿が飛散するおそれ、浄化槽の放置で汚物が流出して臭う、下水管の破損で排水が流出して臭う、ゴミの放置や不法投棄で臭う又はネズミ・ハエ・蚊等が多数発生など

適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
市町村の景観計画や景観ルールに著しく適合しない、周辺の景観と著しく不調和(激しく汚れている、窓ガラスが割れている、立木等が家を覆っている)など

周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
立ち木の枝が敷地をはみ出して通行を妨げている、動物が棲みついて臭う、シロアリの大量発生で近隣被害のおそれ、門扉が施錠されていない・窓ガラスが割れている等で容易な侵入を許しているなど

いずれも該当すれば地域住民の生活に影響が大きいため、苦情の有無に関係なく、市町村の調査によって特定空き家に該当するか判断されます。その際、空き家をそのまま放置することで、どのような影響や被害が想定されるかは個別の判断です。

特定空き家への措置に法的根拠が伴った

前述のとおり、私有財産に公権力を介入させると、トラブルを引き起こすことから行政は消極的でしたが、公益を損なうおそれがある特定空き家については、一定の手続を経ることで法的措置が可能になりました。

特定空き家への措置は4段階になっており、次の順番で進んでいきます。

助言・指導勧告命令代執行または略式代執行

これらの措置の前段階として、市町村に立入調査が許されています(第9条)。特定空き家の認定においては、外観等の目視で不足すると立入調査が行われます。

第1段階:助言・指導

特定空き家の所有者に対して、市町村から自主改善を求める助言・指導がされます(第14条第1項)。助言・指導の方法は書面に限られず口頭もあり得ます。

助言・指導の段階では、応じないことでペナルティを受けませんが、勧告を予告する位置付けでもあり、決して軽視できないので注意しましょう。

第2段階:勧告

助言・指導で自主改善が見込まれないときは、相当の猶予期限を付けて、改善措置の勧告がされることになります(第14条第2項)。猶予期限については、改善内容に応じた期間となるはずで、特に定められていません。

勧告は書面で行われ、勧告の対象になると、敷地の固定資産税・都市計画税における住宅用地特例(固定資産税等の軽減)が適用されなくなります。

住宅用地特例がなくなると、翌年度から敷地の固定資産税が3倍から4倍程度に上がります。詳しくは別記事を用意したので確認してみてください。

空き家対策特別措置法が全面施行され、自治体の空き家対策が強化されたことで、空き家の所有者にとって見過ごせない事態が起こっています。 それは、市町村(東京23区を含む。以下同じ)から悪影響を与え...

なお、勧告までは行政指導となりますが、事実上で敷地の固定資産税が上がる以上、勧告は行政処分にも相当する重い措置です。

第3段階:命令

正当な理由がなく勧告に応じない空き家の所有者に対しては、相当の猶予期限を付けて、改善措置の命令が出されます(第14条第3項)。

命令は勧告に応じないことだけで無条件に出されるのではなく、「特に必要があると認めるとき」に発令されます。このように要件を定めているのは、特定空き家に対する改善の必要性と、命令の重さが釣り合うようにするためです。

命令が発令されると、空き家の所有者には改善の義務が課せられることになります。このような不利益を与える行政処分を不利益処分と呼び、不利益処分を受ける者に対しては、反論や弁明の機会が与えられるなど、手続上の保障が必要です。

そこで、空き家対策特別措置法では、命令時の手続が規定されています。

  • 所有者等へ事前に通知書を交付し、意見書及び自己に有利な証拠を提出する機会を保障する(第14条第4項)
  • 所有者等は、通知書の交付を受けてから5日以内に、意見書の提出に代えて公開による意見の聴取を請求できる(第14条第5項)
  • 市町村長は、意見の聴取の請求があると意見の聴取を行わなければならない(第14条第6項)
  • 意見の聴取は、期日と場所が公告される(第14条第7項)
  • 所有者等は、意見の聴取で証人を出席させ、自己に有利な証拠を提出することができる(第14条第8項)

事前の通知書には、意見書の提出期限が記載されており、5日以内に意見の聴取を請求せず、提出期限までに意見書の提出もなければ命令が出されます。具体的には、命令書が空き家の所有者に送られます。

もし、意見の聴取や意見書の提出があっても、命令が不当ではないと認められた場合も命令が出ます。しかし、命令に至る前にも助言や指導、勧告で改善の機会は与えられており、意見の聴取や意見書の提出で覆すのは余程の事情が必要になるでしょう。

命令は行政処分なので、命令を知ってから60日以内であれば、異義申立て(審査請求)をすることは可能ですが、異議申立てがどれほどの意味を持つか疑問です。さらに、命令に従わないと50万円以下の過料制裁があります(第16条第1項)。

さらに、空き家に命令を受けた旨の標識が設置され、市町村の広報への掲載、ホームページへの掲載などがされます(第14条第11項)。空き家の所有者は、標識の設置を拒むことや妨げることはできません(第14条第12項)。

第4段階:代執行または略式代執行

改善措置の命令にも応じないときは、空き家の所有者に代わって、必要な改善措置を市町村または第三者が強制的に行います(第14条第9項)。これを代執行(行政代執行)と呼び、その手続は行政代執行法に規定されています。

代執行に要した費用は特定空き家の所有者負担なので、代執行がされた後に市町村から請求されます。もし、支払いに応じなくても、代執行の費用未払いは税金の滞納と同様の扱いがされ、督促や差押えの対象になります。

また、空き家対策特別措置法は、所有者不明の場合でも、市町村に過失がなく所有者が不明なら、予め公告した上で代執行を可能にしています(第14条第10項)。

この所有者不明のままされる代執行を「略式代執行(簡易代執行)」と呼び、横須賀市で空き家が強制撤去されたケースも、所有者不明なので略式代執行でした。

略式代執行のポイントは、市町村に「過失がなくて」所有者が判明しないことを要件にしている点です。過失がないとは、市町村が職務上可能と考えられる調査を行っていることを意味します。

少なくとも、登記簿情報による確認、戸籍や住民票による確認、固定資産課税情報による確認をしなければ、過失がないとは言い難いと解されています。

横須賀市が略式代執行できなかった理由

空き家対策特別措置法の施行前でも、違反建築物に対しては、建築基準法による略式代執行が可能です(建築基準法第9条第11項)。

ところが、固定資産課税情報で所有者が確認できる可能性を残しながら、その確認ができない(部署が違うと利用できない)ため、過失がないとまでは言えず、略式代執行ができない経緯でした。

空き家対策特別措置法が施行されたことで、固定資産課税情報の確認が可能になり、それでも所有者が判明しなかったことを踏まえて、略式代執行に踏み切ったものです。

略式代執行には大きな問題があり、所有者が判明していないので、その費用を請求する先がなく、結局は公費負担(住民負担)になってしまうことです。

なお、略式代執行は、改善措置の命令を行いたくても所有者が不明な場合だけに許され、影響が軽微で、そもそも改善命令に至らない空き家は対象外です。つまり、いくら所有者不明の空き家だからといって、何でも略式代執行にはなりません。

代執行までのフロー図

代執行までのフロー図

代執行までは、意外に手順が長いと思うのではないでしょうか。また、猶予期限を設けて手順が進んでいくので、代執行に至るまでの期間はかなりあります。

空き家対策特別措置法のポイントまとめ

長々と解説をしてきましたが、空き家対策特別措置法のポイントをまとめてみましょう。特定空き家という新しい定義、特定空き家に対する措置、固定資産税・都市計画税の実質増税と、注目すべきポイントが目白押しです。

チェックポイント

  • 概ね年間を通じて使用実績がないことで空き家と扱われる
  • 周囲に悪影響が大きい空き家は特定空き家と認定される
  • 特定空き家には助言・指導、勧告による行政指導、命令による行政処分がある
  • 命令に応じないと代執行されて費用は所有者負担
  • 所有者不明でも略式代執行が可能
  • 特定空き家で勧告されると固定資産税(都市計画税)が高くなる

空き家所有者がするべきこと

空き家対策特別措置法の施行で、空き家の所有者がするべきことは何でしょうか?

はっきりしているのは、とにかく特定空き家に認定されないことです。

できれば、空き家にしないで活用を考えることが一番ですが、それが簡単にできないからこそ、空き家になって放置されてしまっているのでしょう。

定期的に管理されている空き家や、築年数が浅い空き家は、周辺に与える悪影響は小さく特定空き家に認定されることは少ないので、ここでは対象外とします。

まずは役所に相談して改善箇所を確認する

空き家対策特別措置法には、市町村が空き家の所有者に対し、情報の提供、助言その他必要な援助を行う努力規定もあります(第12条)。

市町村が空き家対策を進めるにあたり、最初に行うべきは、行政区域内の空き家の把握、ならびに所有者の特定と所在の確認ですから、空き家の所有者が自ら名乗り出て、空き家の相談をすることは大歓迎なはずです。

それ以前に、多くの市町村は空き家対策条例を制定して、これまでも空き家の適正管理に努めてきた経緯により、専門の相談窓口を設けていますし、都道府県単位でも相談窓口が用意されています。

そこで、所有する空き家について、役所に相談してみるのが第一歩です。役所から空き家の問い合わせが来る前に、こちらから出向いて行きましょう。

役所で一番困るのは意思確認ができないこと

なぜ自分から相談することが大切かというと、役所というのは、意思確認のできない住民が最も困るパターンで、事務的な対応にならざるを得ないからです。

例えば、住民税を滞納したとします。何度督促状を出しても反応しない住民については、事情に関係なく法令に従って差押え手続を進めるしかありません。

しかし、納税相談をすると対応は全く異なってきます。納付の意思があっても納付できない事情がわかれば、対応が柔軟になって分納や猶予にも応じてくれます。

空き家対策も同じで、空き家の所有者として意識している旨を、役所側に伝えることが最も重要なのです。空き家問題を意識してわざわざ役所に出向いた人と、全く空き家に無関心・無責任な人を、同列に扱うほど役所は事務的ではありません。

現状からアドバイスをもらう

所有者としての意思を伝える以外にも、役所に相談する大きなメリットがあります。それは、特定空き家の認定を行う市町村なら、現状で改善の必要があるのか、改善するとすればどのようにすれば良いのか、明確に答えを知っている点です。

ついつい自分で判断して先走り、空き家の相談を専門に行っている業者や、リフォーム業者などに相談してしまいがちですが、民間業者は所詮お金儲けで請け負うため、対策が不十分になるか、不要な対策までさせようとする可能性があります。

それが自分の希望に合っているのなら良いですが、自分で対策した結果、役所に指摘されるようでは目も当てられませんよね。それくらいなら、最初から「答えを知っている」役所に現状を見てもらい、アドバイスをもらうのが一番です。

役所に苦情される前に相談する

この記事を読んでいる人の中には、もしかしたら自分の空き家が特定空き家に該当するかも…と頭に思い浮かべているのではないでしょうか。もし、特定空き家に該当しそうだと思っているのなら、まず役所に相談しましょう。

大事なのは、苦情が来る前に相談することで、その理屈は簡単です。

役所に苦情があってから、所有者に連絡して対応を求めるとき、既に苦情がある都合上、空き家所有者にはスピード感のある改善対応が求められます。

しかし、苦情前なら十分に相談して対応を検討できますし、もし後から苦情があっても、役所は対応中であることを一時的な回答として伝えられます。

事が起こってから(苦情が入って被害が出てから)始めるのと、先手を打つ違いは大きく、対応を始めていれば、近所にも理解をしてもらいやすくなるでしょう。

特定空き家と認定される前に対処

空き家対策特別措置法では、特定空き家と認定されない限り、役所から何か措置をするように指導されることはありません。

役所に相談して、改善するべき箇所が見つかった人、相談するまでもなく悪影響が大きい空き家の所有者は、特定空き家と認定されるまでが勝負です。

もし、特定空き家に認定されてしまっても、途中で改善されれば代執行まで進むことはないので、どこかのタイミングで改善することを考える必要があります。

タイミングの1つとしては、勧告を受けて住宅用地特例が適用除外になる前で、費用面を考えても、放置することで税金が増える前というのは重要です。

その前に、必ず役所から助言・指導がありますし、調査が入るので連絡はあるはずです。それが単なる空き家の把握のための実態調査なのか、特定空き家に認定されてしまっているのか確認して対処しましょう。

補助金・助成金制度の利用を検討

改善すべき点が明確になっても、自分でできる草刈りや掃除だけで改善できなければ、業者に頼んで修繕等をしてもらわなくてはなりません。

そこで利用したいのが補助金・助成金の制度で、役所に相談することを勧めているのは、多くの自治体で補助金・助成金制度が用意されていることも大きな理由です。

空き家対策においては、従来から対策事業費として国も自治体も予算を計上しており、補助金や助成金を受けられないか相談してみることです。

どうにもできない古家は解体も視野に

問題視されているのは悪影響のある特定空き家で、その最終的な措置が代執行による除却であるなら、自ら解体することで何の問題もなくなります。

解体する場合、当然に敷地の住宅用地特例は適用除外になり、土地の固定資産税・都市計画税は上がりますが、家の固定資産税が減ります。

解体しなくても特定空き家に認定されて、住宅用地特例は適用除外になれば同じですし、心配のタネと近所迷惑がなくなるだけでも大きいでしょう。

解体費用は高いですが、補助金や助成金は、解体も対象としている例がみられるので、もう壊すしかないと考えている人なら積極的に利用したい制度です。

急ぐ必要がないならとりあえず管理する

当面は特定空き家に認定されない状況でも、空き家は傷むのが早く、やがては問題のある空き家に変わっていきます。そうなる前に、すこしでも進行を遅らせ、うまく活用できる道を探るためには、定期的に管理していくことが大切です。

比較的多いのは、所有者が亡くなったもしくは高齢で施設に入所して空き家になり、当初は定期的に親族が訪れて管理していても、そのうち放置されはじめて荒廃が進み、悪影響が大きい空き家に変わっていくケースです。

空き家が社会問題化したことで、空き家の管理サービスも充実し始め、月に10,000円程度出せば、管理サービス業者が定期的に巡回してくれます。

遠隔地から交通費やガソリン代をかけて訪れる手間と費用を考えれば、費用対効果が大きいと感じる人もいるのではないでしょうか。

空き家活用を考えてみる

空き家問題を解決する最も確実な方法は、自ら利用する、誰かに使ってもらう、売却して誰かに引き渡すなど活用することです。

役所から問い合わせがあったとき、何らかの方法で活用をしている・しようとしている事実があれば、空き家への対処として有効だからです。

それができないから困っているのですが、空き家活用については、自治体も空き家バンクを設置したり、補助・助成事業を行って支援しています。

公的な支援を受けられる環境は徐々に整ってきているので、空き家について相談する際には、改善だけではなく活用についても相談してみましょう。

自ら居住は無理でも利用は可能なはず

空き家になるくらいなので、自分で住むことはできないとしても、年に1回くらいなら、管理目的も兼ねて訪れる(可能なら泊まる)ことはできないでしょうか。

空き家対策特別措置法における空き家の定義は、「概ね年間を通じて利用実績がないこと」です。年に1回では最低限の基準をクリアするに過ぎませんが、役所から問い合わせがあったときに、年に1回でも利用していると答えられるのは大きいです。

電気・ガス・水道などを止めてしまっていると、宿泊までは難しいとはいえ、換気して掃除した後、近所に挨拶していく程度でも効果はあります。

その際、近所に迷惑をかけていないか聞いておけば、近所の人も気にしてくれますし、何かあったら連絡をくれるかもしれません。

要するに、何らかの既成事実を継続的に作っておくと、いざというときに空き家とみなされないよう工夫できるということですね。

誰かに貸しても改善は必要

賃貸物件として誰かに住んでもらう、地域のコミュニティスペースとして利用してもらうなど、他人に使ってもらうなら、確実に空き家ではなくなります。

ただし、人が住める状況、利用できる状況にするのは、もちろん所有者の責任で、そのまま使えない空き家は、費用をかけて手を加える必要があります。

自治体の空き家対策には、空き家バンクへの登録を前提に、賃貸物件としての修繕にも補助・助成しているケースがあるので、問い合わせてみましょう。

特定空き家に認定後の売却は要注意

例えば、特定空き家に認定され、勧告を受けている状況で家と土地を売却したとします。あるいは、売りに出している状況で勧告を受けたとします。

つまり、改善が必要な状況から売って逃れる方法なのですが、確かにそのまま売れると、家と土地の所有者は変わり、勧告の効力は失われます。

しかしながら、改善が必要な状態は変わらず、買主はやがて勧告を受けます。このとき、勧告を受けていると告げて売買されたのなら買主は納得済みでも、知らずに買って対処が必要な特定空き家だったときは問題になるでしょう。

同様に、助言・指導を受けている状況で、そのまま放置すれば確実に勧告を受けると知っていて売却した場合もそうですが、行政指導を隠して売買されたとき、買主が対処することで受けた損害は、賠償請求に発展するおそれがあります。

まとめ

空き家対策特別措置法の施行は、空き家全体の中でも、特定空き家に認定される空き家とその所有者にとっては、見逃せないほど大きな影響を与えます。

特に、固定資産税や都市計画税が上がることを嫌い、使い道のない古家を放置している所有者にとっては、税金が上がるだけではなく、強制的に撤去されて費用請求される可能性もあり、対策を考えなくてはなりません。

今後、代執行により除却される例は増えていくと考えられますが、それでも時間の猶予はあります。改善には何が必要なのか、どうすれば役所に目を付けられなくて済むのか、自分の持っている空き家の現状を把握することから始めましょう。

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