空き家と法律~空き家所有者は法的義務を把握しておくべき

空き家に関連する法律は多いですが、空き家であることを前提にした法律は空き家対策特別法しかなく、他の法律は居住中でも適用されます。

空き家は私有財産であり、自分の財産は自由にできるのが原則です。ところが、様々な法律上の規定から外れてしまうことで、法律を根拠にした対処を求められ、所有者は当然に応じなくてはなりません。

自分の空き家だから関係ないと甘く考えていると、痛い目に遭うのは自分なので、法的義務を把握して空き家の適正な管理に努めるべきでしょう。

この記事では、空き家に関係する法律に注目して解説しています。

空き家対策特別措置法:今後の法的根拠になる重要な法律

平成26年に施行された新しい法律です。空き家対策における法整備の必要性と、従来からの法令では不十分だった点を改善した内容で制定されました。

空き家対策特別措置法では、概ね年間を通じて利用されていない家を空き家と定義し、なおかつ周辺に悪影響を与える空き家を特定空き家と定義して、特定空き家に対する立入調査・行政指導・行政処分・行政代執行を可能にしています。

空き家の所有者が負う責務は、第3条に規定されています。

空き家対策特別措置法 第三条

空家等の所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるものとする。

「努めるものとする」であることから、実は努力義務です。だからといって、空き家に特化したこの法律は、決して軽視できるものではありません。

市町村(東京23区を含む)が行う空き家対策を、国と都道府県が支援する形で構成されているのですが、見逃せないのは固定資産税の増税です。

特定空き家に認定され、一定の行政指導を受けても改善しない場合には、空き家の敷地に対する固定資産税の軽減を除外して、増税ができるようになりました。

空き家対策特別措置法では税制上の措置を講じると規定されているだけで、増税の規定は地方税法でされています(地方税法第349条の3の2)。

空き家対策特別措置法は、空き家の所有者にとって重要な法律であるため、主要な条文を対象に詳しく解説したページを用意しています。

空き家問題が深刻化していることを踏まえ、政府は空き家対策特別措置法(正式名称:空家等対策の推進に関する特別措置法)によって法整備を進め、市町村(東京23区を含む。以下同じ)の空き家対策を進める後ろ盾...

民法:竹木の越境と工作物責任

民法は私人における関係を規定した法律(私法といいます)なので、民法を根拠に所有者責任を問われるなら、周辺住民との間で問題が起こった場合です。

問題のある空き家は、他の法律を根拠に行政が介入してくることもありますが、行政は空き家が与えた損害まで関与はしません。

この点、私法である民法では、損害の当事者間における賠償責任と賠償請求権を規定しており、周辺住民とのトラブルを直接解決するのは民法です。

民法第233条

民法 第二百三十三条

隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
2  隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。

越境した竹木に関する規定で、空き家だけが対象ではないですが、空き家を放置することにより竹木が伸びて、越境してしまうのは十分に考えられます。

枝が越境したときは所有者に切除を要求され(第1項)、根の越境では所有者の同意を得ずに隣地側で切り取ることができます(第2項)。

所有者とは竹木の所有者ですから、枝の越境した竹木がある敷地の所有者と竹木の所有者が異なる場合、原則として切除請求は竹木の所有者が相手方です。

竹木がある敷地の所有者と竹木の所有者が異なる場合とは、空き家の敷地が借地で、地主が竹木を植えたケースです。

この場合、空き家の所有者は竹木の所有者ではないため、原則としては地主に切除請求してもらえば良いのですが、賃貸借契約等で空き家の所有者に管理義務があると明記されているようなら、空き家の所有者が対応するでしょう。

借地上に建つ空き家の所有者が植えた竹木なら、当然に空き家の所有者が対応します。

枝の越境に対応しない場合

竹木の所有者が空き家の所有者だとして、隣地側から枝の切除を求められ、空き家の所有者が切除に応じなくても、隣地側で勝手には切除できません。

しかし、枝の越境は隣地の所有権侵害に該当し、実際に損害を与えた場合はその損害賠償請求の訴訟、損害を与えていなくても所有権侵害を取り除く請求(妨害排除請求)の訴訟を起こされる可能性があります。

民法第717条

民法 第七百十七条

土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2  前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3  前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。

土地の工作物とは、家や塀など人工物を意味しており、設置の瑕疵または保存の瑕疵によって他人に与えた損害は、賠償責任を負うとした規定です。空き家なので所有者以外に占有者はおらず、賠償責任は所有者が負います。

瑕疵とは不具合・欠陥のことで、通常有すべき安全性に欠けている状態です。設置の瑕疵は建て付けが悪いなど、保存の瑕疵は必要な修繕を怠ったなどです。

また、第2項により、竹木にも準用されるため、人工物・自然物を問わず、敷地内にある建物・設備・庭木などの一切が対象に含まれます。

例えば、空き家になった当初は問題のない家でも、老朽化して問題が出てきたのに放置して他人へ損害を与えた、もしくは修繕が不十分で損害を与えた場合は、保存の瑕疵により損害賠償責任が発生します。

所有者以外の責任による損害

第3項では「損害の原因について他にその責任を負う者」について規定されています。典型例としては、空き家の所有者が瑕疵を除去するために依頼した工事で、工事業者が手抜きをした結果、他人へ損害を与えた場合です。

この場合でも、所有者に認められているのは求償権で、損害賠償責任は所有者にあります。その代わり、被害者に対する損害賠償の費用は、手抜きをした工事業者に求償することが可能になるので、実質的に賠償するのは工事業者です。

その結果、一次的には所有者が被害者へ賠償を行い、その後は手抜き工事を巡って工事業者と争うことになるでしょう。

自然災害と工作物責任

工作物責任は空き家の所有者にありますが、空き家が自然災害を受け、他人へ二次災害を与えてしまう可能性も当然にあります。例えば、地震で空き家が倒壊して隣家に損害を与えた、ブロック塀が崩れて歩行者が死傷したなどです。

このような場合は、工作物の安全性と瑕疵の存在が争点です。

有すべきは「通常」の安全性ですから、地震であれば震度、台風・豪雨であれば地域の気候特性や風速・雨量なども踏まえ、十分予見できる程度の自然災害で損害を与えてしまうと、瑕疵に該当して賠償責任を免れません。

雪の多い地域で落雪防止措置を怠り、落雪事故で損害を与えると瑕疵ですし、台風の接近が多い地域で屋根の補強を怠り、屋根材が飛散して損害を与えると瑕疵だということです。

しかしながら、瑕疵がなくても他人へ損害を与えてしまうような、想定外の巨大地震・巨大台風・集中豪雨など異常現象であれば、不可抗力として免責されます。

一方で、瑕疵と不可抗力の両方が存在する場合には、不可抗力による相当部分を減じた賠償責任を認める判例も存在します。

失火責任法:火災時の損害賠償責任

失火責任法は明治に規定された古い法律で、一文だけの短い構成です。

失火責任法

民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス

仮名遣いが難しいので現代語に直すと、「民法第709条の規定は、失火の場合には適用しないが、重過失があるときはその限りではない」となります。民法第709条は、不法行為による損害賠償を規定しています。

民法 第七百九条

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

つまり、空き家から出火して他人に損害を与えたときでも、重過失でなければ損害賠償責任を負わないとされているのですが、ここで問題となるのが、民法第717条による工作物責任が問われる場合です。

工作物責任との競合

工作物責任は、空き家に瑕疵があって他人に損害を与えたときに、所有者へ損害賠償責任を負わせる規定です。一方で失火責任法は、重過失がなければ損害賠償責任を免除する規定ですから、空き家の瑕疵で出火すると競合します。

仮に空き家の瑕疵が重過失なら、失火責任法でも損害賠償を免れないのですが、空き家の瑕疵が軽過失のときはどちらが優先されるのでしょうか?

実は判例でも統一されておらず、過失をどのように評価するのかで変わります。空き家の所有者が出火時の損害賠償に備えるためには、少なくとも空き家に瑕疵がないことを証明できる管理実績が必要でしょう。

建築基準法:建築物の管理責任と既存不適格建築物

建築物は法令の基準を満たして建てるだけではなく、敷地も含め適法な状態を維持管理していくことが空き家の所有者に求められています。

建築基準法 第八条第一項

建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。

そして、空き家が既存不適格建築物(建築当時は適法でも現行法令では不適法となる建築物)であって、著しく保安上危険か著しく衛生上有害だと認める場合は、特定行政庁が必要な措置を命ずることも可能です。

建築基準法 第十条第三項

3  前項の規定による場合のほか、特定行政庁は、建築物の敷地、構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により第二章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)が著しく保安上危険であり、又は著しく衛生上有害であると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを命ずることができる。

老朽化して問題のある空き家は、築深で既存不適格建築物であることが多く、第10条第3項を根拠に是正命令を受けるでしょう。

もし、既存不適格建造物ではないとしても、構造上の問題が目視可能で法令違反が明確であるなら、違反建築物として第9条第1項を適用した是正命令も考えられます。

消防法:火災の予防に必要な措置

消防法上、屋外において火災の予防に危険と認める場合や消防活動の支障になると認めるときは、空き家の所有者に必要な措置を命じることが可能になっています。

消防法 第三条第一項

消防長(消防本部を置かない市町村においては、市町村長。第六章及び第三十五条の三の二を除き、以下同じ。)、消防署長その他の消防吏員は、屋外において火災の予防に危険であると認める行為者又は火災の予防に危険であると認める物件若しくは消火、避難その他の消防の活動に支障になると認める物件の所有者、管理者若しくは占有者で権原を有する者に対して、次に掲げる必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
一  火遊び、喫煙、たき火、火を使用する設備若しくは器具(物件に限る。)又はその使用に際し火災の発生のおそれのある設備若しくは器具(物件に限る。)の使用その他これらに類する行為の禁止、停止若しくは制限又はこれらの行為を行う場合の消火準備
二  残火、取灰又は火粉の始末
三  危険物又は放置され、若しくはみだりに存置された燃焼のおそれのある物件の除去その他の処理
四  放置され、又はみだりに存置された物件(前号の物件を除く。)の整理又は除去

要件が屋外における火災の予防や消防活動への支障なので、基本的には空き家の周辺に放置されたゴミなどを対象としますから、自分が知らないうちに可燃性のゴミが不法投棄されていると、消防署から除去命令もあり得るわけです。

また、空き家自体についても、火災の予防上で必要なら、第5条第1項の規定により改修、移転、除去などの是正措置を命じられることがあります。

消防法 第五条第一項

消防長又は消防署長は、防火対象物の位置、構造、設備又は管理の状況について、火災の予防に危険であると認める場合、消火、避難その他の消防の活動に支障になると認める場合、火災が発生したならば人命に危険であると認める場合その他火災の予防上必要があると認める場合には、権原を有する関係者(特に緊急の必要があると認める場合においては、関係者及び工事の請負人又は現場管理者)に対し、当該防火対象物の改修、移転、除去、工事の停止又は中止その他の必要な措置をなすべきことを命ずることができる。ただし、建築物その他の工作物で、それが他の法令により建築、増築、改築又は移築の許可又は認可を受け、その後事情の変更していないものについては、この限りでない。

道路法:道路への越境に対する措置

公共で使用される道路は、交通に危険や支障があってはならないことから、第43条によって禁止行為が定められています。

道路法 第四十三条

何人も道路に関し、左に掲げる行為をしてはならない。
一  みだりに道路を損傷し、又は汚損すること。
二  みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある行為をすること。

道路法が適用されるとすれば、主に空き家の立木・植栽が伸びて道路にかかっている状況下で、第71条第1項による道路の原状回復(つまり切除)を命じられます。

ちなみに「みだりに」というのは、道路上にはみ出す量や頻度を意味するのではなく、正当な理由や権限を持っていないことを意味しています。

なお、第43条の規定は、道路上に越境しているからこそ道路法の適用になるのであって、道路上に越境しそうな状態だけでは適用できません。

そのため、沿道区域に指定されていることを条件に、空き家の所有者へ予防義務を課す規定が第44条第3項に存在します。

道路法 第四十四条第三項

3  沿道区域内にある土地、竹木又は工作物の管理者は、その土地、竹木又は工作物が道路の構造に損害を及ぼし、又は交通に危険を及ぼす虞があると認められる場合においては、その損害又は危険を防止するための施設を設け、その他その損害又は危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。

ただし、沿道区域を指定している自治体はそれほど多くないですし、竹木が道路にかかっていたとしても軽微で、交通に支障を及ぼすおそれすらない程度なら、ただちに切除を求められるほどではないでしょう。

廃棄物処理法:ゴミや不法投棄は対応が必要

空き家の所有者は、空き家とその敷地を清潔に保つ努力をしなくてはなりません。また、廃棄物を敷地に発見したときは通報の努力義務もあります。

廃棄物処理法 第五条第一項および第二項

土地又は建物の占有者(占有者がない場合には、管理者とする。以下同じ。)は、その占有し、又は管理する土地又は建物の清潔を保つように努めなければならない。
2  土地の所有者又は占有者は、その所有し、又は占有し、若しくは管理する土地において、他の者によつて不適正に処理された廃棄物と認められるものを発見したときは、速やかに、その旨を都道府県知事又は市町村長に通報するように努めなければならない。

自分で出したゴミを、空き家の敷地内に放置するのは論外ですが、問題が深刻なのは不法投棄への対応をどうするかでしょう。

適正な処理がされない廃棄物が放置されることで、生活環境の保全上で支障(例えば異臭や害虫が発生、廃棄物が危険物など)があれば、除去を命じられます。

廃棄物処理法 第十九条の四

一般廃棄物処理基準(特別管理一般廃棄物にあつては、特別管理一般廃棄物処理基準)に適合しない一般廃棄物の収集、運搬又は処分が行われた場合において、生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められるときは、市町村長(前条第三号に掲げる場合にあつては、環境大臣。第十九条の七において同じ。)は、必要な限度において、当該収集、運搬又は処分を行つた者(第六条の二第一項の規定により当該収集、運搬又は処分を行つた市町村を除くものとし、同条第六項若しくは第七項又は第七条第十四項の規定に違反する委託により当該収集、運搬又は処分が行われたときは、当該委託をした者を含む。次条第一項及び第十九条の七において「処分者等」という。)に対し、期限を定めて、その支障の除去又は発生の防止のために必要な措置(以下「支障の除去等の措置」という。)を講ずべきことを命ずることができる。
2  前項の規定による命令をするときは、環境省令で定める事項を記載した命令書を交付しなければならない。

誰が不法投棄したかわからないのがほとんどなので、結局は空き家の所有者が処分しなくてはならず、損害賠償を求めようにも相手がいない事態に陥ります。

ポイ捨て程度の小さなゴミなら、腹は立っても仕方なく拾うでしょうが、業者に処分を依頼してお金をかけるレベルになると泣くに泣けません。

また、仮に不法投棄した人を推測できたとしても、否定した場合には、不法投棄を立証するのが困難で、残念ながら捨てたもの勝ちなのが現実です。

密集市街地整備法:防災上の危険を除去

阪神・淡路大震災では、旧耐震基準の建物が倒壊したことを原因として、多くの尊い命が奪われたことを忘れてはなりません。

古くから木造住宅が密集している市街地は、どうしても火災リスクや地震リスクが大きく、ひとたび火災が起きれば容易に燃え広がり、地震が起きれば倒壊しやすいという防災上の危険を常に帯びています。

しかも、密集した状態で老朽化している上に、避難経路になるはずの道路も狭い(いわゆる路地)ですから、建て替えや再開発を進めたいところでしょう。

そうはいっても事は簡単ではなく、既存不適格建築物で建て替えできないか、権利調整の難しさもあり、密集市街地は現在でも多く残っている状況です。

密集市街地整備法では、老朽化した木造住宅が、大規模な地震で防災上の危険が大きいと判断したときに、除却(解体)を勧告できるようになっています。

密集市街地整備法 第十三条第一項

所管行政庁は、防災再開発促進地区の区域であって都市計画法第八条第一項第五号 の防火地域(以下単に「防火地域」という。)、同号 の準防火地域(以下単に「準防火地域」という。)又は第三十二条第一項 の防災街区整備地区計画の区域(同条第二項第一号 に規定する特定建築物地区整備計画又は同項第二号 に規定する防災街区整備地区整備計画が定められている区域のうち建築物の構造に関し準防火地域における建築物の構造に関する防火上の制限と同等以上の防火上の制限が定められており、かつ、建築基準法第六十八条の二第一項 の規定に基づく条例でこの制限が定められているものに限る。)が定められているもの(第四項において「特定防火地域等」という。)の内にある老朽化した木造の建築物で次に掲げる条件に該当するもの(以下「延焼等危険建築物」という。)の所有者に対し、相当の期限を定めて、当該延焼等危険建築物を除却すべきことを勧告することができる。
一  当該建築物及びその周辺の建築物の構造及び敷地並びにこれらの建築物の密集している状況に照らし、大規模な地震が発生した場合において延焼防止上危険である建築物として国土交通省令で定める基準に該当するものであること。
二  国土交通省令で定める規模以上の地震が発生した場合において壁、柱等の主要な構造に著しい被害を受けるおそれがある建築物として、当該建築物の構造に関し国土交通省令で定める基準に該当するものであること。

密集市街地整備法での除却勧告は、行政処分(命令)ではないので、勧告に従わなくても行政代執行を可能にしませんが、だからといって勧告を受けるほどの空き家なら、空き家対策特別措置法や建築基準法でも行政処分の対象になるでしょう。

したがって、他の法律を根拠に、最終的には行政代執行に至ると推測されます。

景観法:景観地区にある建築物の制限

個人財産である空き家の見た目がどのようになっていても、そのことで迷惑をかけていなければ、他人から文句を言われる筋合いはないと思うでしょうか。

ところが、景観地区(都市計画区域または準都市計画区域内で定められます)に指定されると、景観地区内は定められた形態意匠に適合を求められます。

景観法 第六十二条

景観地区内の建築物の形態意匠は、都市計画に定められた建築物の形態意匠の制限に適合するものでなければならない。ただし、政令で定める他の法令の規定により義務付けられた建築物又はその部分の形態意匠にあっては、この限りでない。

しかし、既に建っていた空き家にまで、形態意匠の制限を突き付けるのは所有者に酷ですから、景観地区に関する都市計画が定められた・変更されたときに、既に存在していた建築物や工事中の建築物は、第69条第2項によって適用除外されます。

そこまで聞くとホッとしそうですが、実は適用除外の建築物でも、著しく景観に支障があれば、形態意匠の制限に適用するための措置を命じられます。

景観法 第七十条

市町村長は、前条第二項の規定により第六十二条から第六十八条までの規定の適用を受けない建築物について、その形態意匠が景観地区における良好な景観の形成に著しく支障があると認める場合においては、当該市町村の議会の同意を得た場合に限り、当該建築物の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の期限を定めて、当該建築物の改築、模様替、色彩の変更その他都市計画において定められた建築物の形態意匠の制限に適合するために必要な措置をとることを命ずることができる。この場合においては、市町村は、当該命令に基づく措置によって通常生ずべき損害を時価によって補償しなければならない。
2  前項の規定によって補償を受けることができる者は、その補償金額に不服がある場合においては、政令で定めるところにより、その決定の通知を受けた日から一月以内に土地収用法第九十四条第二項の規定による収用委員会の裁決を求めることができる。

今は景観に支障がなくても、老朽化して支障があると判断される可能性は否定できず、景観地区では空き家の管理に景観上の配慮も必要だということです。

まとめ

空き家に関連する法律を見てきましたが、思っているよりも適用の可能性がある法律は多いと感じたのではないでしょうか。

民法と失火責任法以外の法律は、行政による措置の根拠法ですが、空き家対策特別措置法の施行で、今後は空き家対策特別措置法を根拠にしてくるはずです。

どの法律でも、空き家を適正に維持管理していれば何の問題もありません。空き家を放置し、他人を死傷させて億単位の賠償請求をされるリスクは、空き家を解体して固定資産税が高くなる程度の負担とは桁が違います。

老朽化して管理不全の空き家は、もはや周辺住民にとって脅威以外の何物でもなく、所有者としての責任を自覚して空き家管理に取り組みましょう。

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