固定資産税と都市計画税の仕組み

毎年納付書が届くと嫌になる固定資産税と都市計画税ですが、土地でも家でも不動産の所有者なら、避けることができない税金です。

ところで、固定資産税や都市計画税が発生することは知られていても、どうして納付書の金額になるのか、きちんと理解している人はそれほど多くありません。

他の税金なら、例えば消費税なら8%や10%というように、対象になる金額から簡単に計算できても、固定資産税と都市計画税はは計算がとても複雑です。

しかも、価値は下がっているはずなのに税額が上がるケースもあって、かなりややこしい仕組みを経由して税額が計算されます。

この記事では、固定資産税と都市計画税の基礎的な知識として、その仕組みを取り上げていますが、ある程度知識があると物足りないかもしれません。

固定資産税とは

この説明は不要でしょう。固定資産税とは不動産の所有者に対して、市町村(東京23区は東京都、以下同じ)が毎年課税する税金です。

対象となる不動産について市町村が評価(どのくらいの価格相当であるか算定)を行い、評価額に応じて税額が上下します。つまり、高い評価を受ける不動産は、資産価値が高いので多く税金を納めなさいとする制度です。

例えば、中心地と山奥にある土地は、同じ広さでも市場価値が異なるため、必然的に固定資産税も変わり、中心地にある土地のほうが税金は高くなります。

また、新築と中古の家では価値が異なるので、古くなるほど価値が下がって、固定資産税も安くなっていくのが普通でしょう(絶対ではありません)。

納税義務者は1月1日時点の所有者

固定資産税の特徴は、毎年1月1日時点で存在する土地または家屋の所有者(登記上の所有者)が、1年分の税金に対する納税義務者になる点です。

1月1日時点の所有者であることには注意してください。1月1日時点で所有していれば、1月2日に手放しても、その年の納税義務者は変わりません。

したがって、年の途中で売買があり所有者が変わったとしても、その年の納税義務者は、1月1日時点の所有者(売買前の所有者)です。

年の途中で所有権移転が起こった場合、1年分の固定資産税を、前所有者が全額負担するのは不公平であるため、引渡日までの所有日数に応じた金額を、前所有者と現所有者で分担するのが通常です。

納税義務者は前所有者で変わらず、納付書も前所有者に送られることから、現所有者が前所有者に、引渡日以降の相当分を渡すことで精算されます。

また、納税義務者は所有者なので、借地・借家の賃借人が固定資産税の納税義務を負うことはありません(もちろん地代・家賃は払いますが…)。

固定資産税はいつ支払うのか

毎年1月1日時点の所有者には固定資産税納税通知書が送られ、同封(市町村によっては兼用)の納付書で4期に分けて支払います。

納期限で多いのは4月末・7月末・12月末・2月末ですが、納期限は市町村の条例で決めることも可能で、例えば東京都の第1期は納期限が6月末(第2期は9月末)ですし、5月末を第1期の納期限としている市町村もあります。

固定資産税は現況地目で判断される

土地には登記上の地目(用途に応じた土地の分類)があり、代表的な地目は、宅地、田・畑(農地)、山林、原野、雑種地などに分かれています。

土地の価値で言えば、多くの活用方法が考えられる宅地は、最も価値が高くなるのも理解しやすいでしょう。活用方法が限定される土地は価値が低く、農地や山林、原野といった地目の土地は、同じ地域の宅地よりも価値は低いです。

これら登記上の地目は、本来の意味では土地の用途に一致するべきですが、例えば原野を造成して、家を建てることはできるわけです。また、登記上の地目が畑でも、実際には長期間耕作をせずに放棄されているケースも多くあります。

こうした登記上の地目だけで固定資産税を課税してしまうと、宅地として使われている原野や、耕作されていない農地が不当に低い課税になってしまうでしょう。

そこで、固定資産税の課税においては、1月1日時点の状況を確認して課税するようになっており、これを現況課税(現況地目による課税)と呼びます。

共有名義の固定資産税はどうなる?

不動産は共有名義にすることが可能で、共有名義の場合の固定資産税は、共有者の全員が連帯債務を負います(地方税法第10条の2第1項)。そのため、共有名義の代表者に固定資産税納税通知書を送付する扱いです。

連帯債務である以上、納税額を持分に応じた分割をして、各共有者に持分相当の納税通知書を送付することはできず、代表者に納税通知書が送付されます。

なお、代表者は市町村内に在住している人、持分の多い人、世帯主などの基準で決められますが、共有代表者変更届を市町村に提出することで変更可能です。

マンションの固定資産税

区分所有が可能なマンションでは、専有部分の他に、共用部分と敷地を区分所有者全員で共有しており、その持分は、専有部分の床面積比率に応じています。

よって、マンションの固定資産税は次のようになります。

土地:敷地全体の税額を床面積比率で按分した額
家屋:専有部分の税額+共用部分を床面積比率で按分した額

固定資産税と都市計画税の違い

固定資産税は原則として全ての地域の不動産を対象としますが、都市計画税は原則として市街化区域内に存在する不動産を対象とします。

また、固定資産税の標準税率1.4%に対して、都市計画税の制限税率は0.3%です。

固定資産税の標準税率とは、市町村が条例で変更できる税率ですが、多くの自治体は1.4%です。都市計画税の制限税率とは、税率の上限を意味しており、自治体が条例で変更するとしても、0.3%よりも低い税率です。

その他は固定資産税と同じで、1月1日の所有者に対して課税されるため、固定資産税と都市計画税は、一緒に課税されて納税通知書が届きます。

 固定資産税都市計画税
課税対象土地・家屋・償却資産土地・家屋
課税地域原則として全ての地域原則として市街化区域
税率1.4%(標準税率)0.3%(制限税率)
納税義務者毎年1月1日時点の所有者
免税点(課税対象外)土地30万円、家屋20万円、償却資産150万円

固定資産税評価額と課税標準額

固定資産税評価額と課税標準額は、固定資産税の仕組みを知る上で最も障害になりやすく、ここを理解しないとどうしても先に進みまないので重要です。

違いが良くわからない場合には、何度か読み返してみましょう。

固定資産税評価額

課税対象になる不動産を、市町村が評価した額です。固定資産税評価額は、3年ごとに再評価されます(評価替えといいます)。そのため、不動産を同じ用途で利用している限りにおいては、固定資産税評価額も3年間据え置かれます。

ただし、地価が急落しても固定資産税評価額を据え置くと、過当な課税になってしまうため、土地の固定資産税評価額は修正されることもあります。

また、固定資産税評価額は、納税通知書等で「価格」として表現されます。この価格とは固定資産税評価額のことで、売買等の市場価格ではありません。ここは勘違いしやすいので注意したいところです。

固定資産税評価額は対象不動産の評価額ですから、税制上の軽減を受けるとしても評価自体に影響を与えるはずもなく、評価替えまで変わらなくて当然です。よって、固定資産税と都市計画税でも同じ固定資産税評価額です。

課税標準額

固定資産税評価額に対して、特例(軽減措置)や負担調整措置を適用した結果が課税標準額です。固定資産税額・都市計画税は、それぞれの課税標準額に、それぞれの税率を乗じることで求められます。

固定資産税額=固定資産税課税標準額×税率
都市計画税額=都市計画税課税標準額×税率
※税率:固定資産税1.4%(標準税率)、都市計画税0.3%(制限税率)

特例や負担調整措置は土地に適用されるので、適用がない家屋は、固定資産税評価額と課税標準額が同額です。

土地の課税標準額=特例や負担調整措置適用後の固定資産税評価額
家屋の課税標準額=固定資産税評価額

このような性質から、固定資産税評価額は評価替えが行われないと変化しませんが、土地の課税標準額は特例や負担調整措置の適用しだいで変化します。

逆の見方をすれば、固定資産税評価額をそのまま変化させられないので、課税標準額を調整して税制上の軽減を取り入れているとも言えます。

特例とは

税負担を抑えるために、地方税法に規定された課税標準の特例によって、課税標準額は軽減されます。代表的なのは住宅用地に対する特例です。

負担調整措置とは

急激な税負担の上昇を抑えるために、前年度の課税標準額と今年度の課税標準額となるべき額の割合(負担水準といいます)を求め、その割合で今年度の課税標準額を決めます。

負担調整措置によって、固定資産税評価額が急上昇しても、実際の納税額は毎年緩やかに上昇するため、納税者にとっては救いになる制度です。

なお、土地の課税標準額は固定資産税と都市計画税で異なる場合もあります。これは、特例による軽減率や負担調整措置の結果が異なるためです。

土地の評価

土地は現況地目(登記地目ではなく利用状況)ごとに異なる評価方法が使われており、基本的な考え方としては、対象の土地1㎡あたりの価格を求め、地積(登記上の面積)を乗じた金額が固定資産税評価額です。

ただし、現況地目に応じた特例や、負担調整措置によって課税標準額は変わるため、固定資産税評価額の高さと税額の高さは必ずしも一致しません。

宅地の場合

市街地や類似する状況の宅地は、接する街路に適正な1㎡あたりの価格(路線価といいます)を設定して、路線価に宅地の奥行・形状・間口等を考慮した補正をしてから、地積を乗じて固定資産税評価額を求めます。

その他の宅地は、その地域で標準的な宅地(標準宅地)を選定して適正な1㎡あたりの価格を求め、評価対象に比準した単位価格に補正してから、地積を乗じて固定資産税評価額を求めます。

宅地は市場価値が高いので、固定資産税評価額はどの地目よりも高くなります。その水準は、概ね公示地価の7割を目途とされています。

その代わり、宅地が住宅用に使われていると、一定面積は特例の対象になり、最大1/6まで課税標準額が減ります。また、商業地や住宅のない宅地では、負担調整措置によって固定資産税評価額の70%が課税標準額の上限値になっています。

建物を建てることが容易な宅地は、土地と活用方法が広く、不動産市場で活発に取引される対象です。それだけに、資産価値は高いのですが、同時に固定資産税(都市計画税)も高くなる要因になっています。 し...

農地の場合

農地では、標準田・標準畑を選定して適正な1㎡あたりの価格を求め、評価対象に比準した単位価格に補正してから、地積を乗じて固定資産税評価額を求めます。

このとき、農地利用を前提とした売買実例(農地利用が前提の売買)に基づいた価格修正と、一定値(0.55)を乗じる価格修正が存在します。

そのため、一般農地(市街化区域外にある農村部の農地)は、地価が元々低い上に、上記の価格修正があるので、相当低い固定資産税評価額です。

一方で市街化区域農地(生産緑地を除く)は、農地であっても宅地並みに評価されます。ただし、宅地化するための造成費を控除して評価するので、宅地並み評価とはいえ、宅地と同等の評価にはなりません。

同様に、転用された農地(転用確実な農地を含む)も、転用後の農地と類似する土地の評価から、転用のための造成費を控除して評価します。

なお、宅地並み評価を受ける市街化区域農地でも、耕作に利用されている限りは特例があり、課税標準額が固定資産税評価額の1/3に減ります。負担調整措置については、一般農地と市街化区域農地で異なる基準が用いられます。

日本は国土が狭く平地が少ない国なので、農地の存在は食料自給率からも重要な位置付けにあります。そのため、従来から農地は多方面で保護されており、その中の1つに固定資産税(都市計画税)の安さがあるのは、知...

山林の場合

山林では、標準山林を選定して適正な1㎡あたりの価格を求め、評価対象に比準した単位価格に補正してから、地積を乗じて固定資産税評価額を求めます。

このとき農地と同様に、山林でも山林利用を前提とした売買実例(純山林としての売買)に基づいた価格設定があり、山林も相当低い固定資産税評価額です。

山林に特例はありませんが負担調整措置はあって、市街化区域の山林と市街化調整区域の山林では、異なる基準が用いられます。

※詳しくは別記事を用意します。

その他の場合

売買実例に基づいて評価しますが、必ずしも売買実例が存在するとは限らないことから、土地の位置や利用状況を考慮して、付近の土地に比準して決められます。

家屋の評価

家屋の評価には大原則があって、それは評価時点で再建築したときに要する想定費用(再建築価格)を、築年数に応じて補正していくという考え方です。

実際の補正は複雑で、物価変動や需給事情、積雪寒冷による補正などもありますが、イメージとしては次のように覚えても間違いありません。

固定資産税評価額=再建築価格×経年減点補正率

再建築価格は固定資産評価基準から求められ、実際に支払った建築費用や購入価格とは異なります。一般的には、新築価格の50%~70%程度が多いようで、評価する人でも変わるのが現実です。

家を新築すると役所から家屋調査に来るのは、書面では確認できない材質や設備等のグレードを確認・聞き取りして、再建築価格の算出に使用するためです。

経年減点補正率は、築年数が増すほど小さな値になり、その結果、再建築価格が変わらないとすれば、固定資産税評価額は評価替えのたびに低くなります。

また、家の構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)によって耐久度が異なるため、経年減点補正率は構造別に決められています。

ただし、再建築価格の2割が固定資産税評価額の下限です。そのため、建物の固定資産税は築年数と共に安くなり、2割評価に達すると以降は下がらなくなります。

※詳しくは別記事を用意します。

新築家屋の場合

完成した年の1月1日には、まだ存在していない又は建築中なので課税されず、完成後の家屋調査を経て翌年度から課税されていきます。ただし、完成からの日数に関係なく、翌年1月1日時点を1年経過したとして経年減点補正されます。

課税初年度の経年減点補正率は、構造に関係なく0.8で、最初の課税時点から再建築価格の8割相当、つまり新築価格の5割前後が固定資産税評価額となります。

さらに新築家屋は、特定の要件を満たすと3年間または5年間、120㎡までは固定資産税額が1/2に減額されるので、新築から一定期間は固定資産税が減ります。

既築(中古)家屋の場合

既築家屋の評価は、3年ごとの評価替えで毎回再建築価格を算出しなおす際、再建築費評点補正率という、建築物価水準を反映した数値で補正されます。

評価替えの年でも、家屋調査に来ないのはそのためで、平成27年度の評価替えでは、木造が1.06、非木造が1.05とされました。つまり5%~6%の上昇です。

このように再建築価格を求め、築年数に応じた経年減点補正率で補正していきます。当然ですが、経年減点補正率は初年度の0.8よりもさらに小さく、固定資産税評価額が低くなって税額も減ります。

まとめ

今回は仕組みの部分を重点的に説明しているので、制度上の細かい点には触れていません。それでも、固定資産税評価額と課税標準額の違いを理解できれば、固定資産税の入り口としては十分でしょう。

はっきりしているのは、不動産を所有している限り税負担が避けられないこと、大抵の不動産が市場価格に比べると低い固定資産税評価額になること、税負担を軽減するための制度が用意されていることです。

確かに税金は支払いたくないですが、不動産は資産(財産)ですから、手放さない限り相続されていくものです。次世代へ受け継ぐため、今税金を支払っていると思えば、少しは不満も和らぐのではないでしょうか(そうでもないですかね?)

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